ある傍観者の備忘録

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シェアリング・エコノミーが進むと資本主義は死ぬ

最近はシェアリング・エコノミーといって、何でもかんでもシェアする時代になってきた。それなのに、シェアリングしないなんて非効率じゃんと自信満々に言っていた友達に「じゃあ、結婚相手もシェアしてみなよ」と言ったらとても冷たい目で見られた。えっ、何でもシェアすれば効率化できるんじゃなかったのか?

一般的には資産の効用を最大限に活かすという効率主義の行き着いた先としてのシェアリング・エコノミーの発達ということが主張されている。例えば、車であれば朝出勤してから夜仕事から帰るまで車は稼働していないので無駄だし、そもそも休みになってもたまにしか車を使わない人もいる。

今まではリースやレンタカー、そして究極にはタクシーなどを組み合わせて個人的に最適化するという選択をするか、自分で車を所有するしかなかった。それがシェアリングの世界になると、車側でも使われていない時間を効率化できるようになるということらしい。その結果、個人と車の両方において最適化されるという時代が到来するというのだ。

ところが、シェアリングエコノミーの代表として挙げられる配車アプリのUberにしても、居住空間のシェアアプリのAirbnbにしても、よくみるととても大きな危険性をはらんでいる事がわかる。というのも、両方において、所有する側と利用する側が分断される可能性を秘めているからだ。

貸し出す車や部屋を持っている側と利用する側の関係性という点でフォーカスを当てられる事は少ないが、実はシェアリング・エコノミーの究極の形態は大土地所有者と小作人の関係性とそう変わらないものになる可能性を持っている。現在は個々人が持っている状態からのスタートではあるものの、規模の経済が働くために最終的には所有の独占が進むと考えられる。

Uberで何台も車を持っている人が運転手を雇ったり、不動産オーナーが部屋をいくつもAirbnbで回しているという状態は既に始まっている。そして時間が進めば進むほどそれぞれの規模は拡大し、持てるものと持たざるものの差が究極の貧富の差につながっていくことは想像に難くない。そして所有の独占が進む結果、シェアリング・エコノミーは私的所有権をベースとしてきた資本主義の根幹を揺るがすほどの大きなインパクトを持ち得るのである。

そもそも封建主義からの発展過程において、私的所有権が認められて初めて資本主義が誕生し、市民という概念をベースに民主主義が発達したのである。それを自らギブアップするようなシェアリング・エコノミーは社会的枠組みすらを大きく変えうる可能性を秘めている。極端に言えば、少ない個人による所有権の独占になれば封建主義に逆行するような状態になるし、独占された所有権を国家が管理するような状態になると共産主義につながっていく状況なのだ。

残念ながら、現在はそのどちらに向かうのかはわからない。というか、まだ情報が少ない中そんな簡単に予想することもできそうではない。だが、実はシェアが進めば進むほどほとんどの人にとっては誰が所有者なのかを認識する必要も薄れていくために、どちらに進んでも普通に生活するものにとっては大差がなくなるかもしれない。

だが、大差はないとは言え、シャアリング・エコノミーの先には昔ながらの封建主義のようなものか、逆に共産主義的なもの。どちらにしても資本主義以外の社会が待っているような気がする。


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