ある傍観者の備忘録

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資本主義と民主主義のどっちが勝つのか?

万国の労働者よ、団結せよ!というのは共産主義のスローガンの一つであるが、これは必ずしも時代遅れの言葉ではない。むしろ大多数の生活が苦しくなって「1%の金持ちを倒せ」なんていう言葉が叫ばれている今、実は100年前と同じように資本主義の限界を迎えているように見える。

ピケティが再度話題に呼び起こしたように、資本家が儲かり続けていくというのが資本主義の避けがたい流れだ。これは金持ちの投資で得られる収益の方が労働者のもたらす経済成長率より高いということで説明される。そしてその結果、少数の資本家がより金持ちになり、大多数の労働者は相対的に貧乏になっていくしかない。

何のことを言っているのか小難しくてわからないという人は、「お金は寂しがりや」と考えてもらえばよい。金持ちは益々金持ちになるのである。

お金があれば住宅ローンに余計な金利を払わなくて良いし、むしろ逆に投資収益を得られる。また、金銭的不自由がなければ、何かの問題があった時に保障してくれる生命保険という暴利を貪るシステムに入らなくても済む。つまり、支出が少なくて済むし、投資さえしていれば短期的な損失はあったとしても長い目でみれば富は増大していく。

さらにずるい事に、お金持ちには一般の人には伝わらない儲け話も一番最初に入ってくるし、タックス・ヘイブンを使って税金も効率的に抑えることができる。お金があればあるほど、さらにお金持ちになっていくのは資本主義の世界では宿命なのだ。

そんな資本主義下では、貧しいものが金持ちになる為には必死に働いて資本を貯めるか、運よく宝くじなどにあたるしかない。そして耐えられるうちは目の前の生活に一生懸命に生きるが、あまりにも貧富の差が広がりすぎると最終的には既存のシステムの崩壊を願うしかない。

歴史的には、大衆の不満が耐えられないレベルに達したとき、行きすぎた資本主義への反旗を翻すことによって何度も歴史が大きく動いてきた。共産主義革命、民主的に選ばれたナチス、最近ではトランプ政権でさえもこうした大きな流れとして捉えることができる。

幸いな事に日本では金持ちに対する不満はあるものの、まだまだシステムを暴力的に変えようとする兆しは見られない。というのも、民主党で失敗したトラウマが強い一方、今の生活がまだまだ耐えられるほどの豊かさを保っているからである。

だが、外に目を向けるとこれからは益々資本主義と民主主義のバトルが盛んになるのが必至で目は離せそうにない。世界経済が停滞する中、ギリギリに耐えられてきた社会が破綻を迎えるからである。

フランスのように暴動が起きたり、労働者の鬱憤を吸い上げる極右政権が選ばれたりするのはまだまだその始まりに過ぎない。

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